発達障害に関する事例

当事務所では、これまで多くの障害年金請求をお手伝いしてきましたが、ホームページではその一部を掲載しています。実際の受給事例は精神障害を中心に多数ありますが、重複している傷病のなかから代表的なケースに絞ってご紹介します。

掲載している事例は、ご相談内容をもとに個人が特定されないよう一部内容を変更・再構成しています。受給金額は認定された年度や保険料納付状況などにより異なります。

自閉症スペクトラム障害(20代男性/無職)

相談内容

小さい頃から友人を作ることが苦手で、学校では一人で過ごすことが多くありました。高校卒業後に就職したものの、職場では曖昧な指示が理解できず、「言われたとおりにやっているのに違う」と注意されることが続きました。また、周囲の雑談にも入れず孤立し、仕事中にパニックになってしまうこともありました。

転職を3回繰り返しましたが、どの職場でも人間関係がうまく築けず、半年ほどで退職。その後は外出することも減り、自宅に引きこもる生活となりました。家族に勧められて精神科を受診した結果、ASDと診断されました。

障害年金の制度はインターネットで知っていましたが、「発達障害だけでは対象外ではないか」「働いていないだけでは認められないのでは」と思い、請求をためらっていたそうです。

当事務所のサポート

初回相談では、ご本人は緊張が強く、自分の困りごとをうまく説明できませんでした。そのため、お母さまにも同席していただき、幼少期から現在までの生活状況を一緒に振り返りました。

学生時代の集団行動の苦手さや、就職後に退職を繰り返した経緯、現在も家族が声を掛けなければ入浴や食事を忘れてしまうことなど、日常生活での具体的なエピソードを一つずつ整理しました。

これらを病歴・就労状況等申立書へ反映し、診断書との整合性も確認しながら請求を進めていきましたした。

結果

決定した年金種類と等級:障害基礎年金2級(事後重症請求)

年金額:年間約840,000円

発達障害(ASD)のみの診断名を受けた場合でも、発症から現在までの経過や生活実態を適切に整理することで、障害年金の受給につながるケースがあります。

注意欠陥多動性障害(30代女性/就労移行支援事業所通所中)

相談内容

一般企業で事務職として勤務していましたが、仕事の優先順位を付けることが苦手で、複数の業務を同時に依頼されると頭の中が混乱し、何から手を付けてよいか分からずミスが続き、上司から注意を受けることが増えました。

メモを取っても、そのメモ自体をなくしてしまい、約束した会議を忘れてしまうことも何度もあったそうです。徐々に出勤すること自体が苦痛となり、朝になると吐き気や腹痛が出現するようになり会社は休みがちになっていきました。

その後、精神科でADHDと診断されたことで休職を経て退職され、当事務所に相談いただきました。「もっと早く分かっていれば…」と涙ながらにお話されていたのが印象的でした。

当事務所のサポート

面談では、ご本人は努力不足により退職に至ったと否定的に捉えていましたが、お話を伺う中で幼少期から同じような特性が続いていたことが分かりました。

学生時代の忘れ物の多さや、提出物を期限までに出せなかったこと、社会人になってからも仕事を一人で管理できず常に周囲のフォローが必要だったことなどを時系列で整理するなかで、努力不足や怠け癖ではない障害特性によるものだったと肯定的に受けとめられたと仰っていました。

ご家族からも日常生活での様子を伺い、家計管理ができず公共料金の支払いを忘れることや、家事を途中まで行って別のことを始めてしまう様子なども申立書へ反映しました。

結果

決定した年金種類と等級:障害厚生年金3級(事後重症請求)

年金額:年間約1230,000円

認定日頃は相応にフルタイム就労中につき認定基準非該当と判断し、ご本人も納得の上で事後重症による請求でしたが、無事認定されたことで安心いたしました。

自閉症スペクトラム障害(30代女性/自立訓練事業所通所中)

相談内容

職場での配置転換をきっかけに人間関係が上手くいかなくなり、職場で強いストレスを感じるようになり、加えて、慣れない業務に上司から急な予定変更を指示されると混乱し、頭が真っ白になってしまうことも多く、心療内科を受診されていました。

その後も症状は軽快することなく体調を崩して退職。ASDと診断され、現在は就労移行支援事業所へ通所していますが、毎日通所するだけでも疲れ切ってしまい、帰宅後は自宅で横になって過ごす日が続いていました。

「就労移行支援へ通っていると、働けると判断されてしまうのではないか」と不安を抱え、ご相談いただきました。

当事務所のサポート

事業所での支援内容を詳しく確認したところ、一人でもそれなりに作業を進めることができるが、正確性や作業効率に難が見られるため、職員から毎回声掛けや手順の確認を受けながら訓練を行っている状況でした。

また、帰宅後は疲労が強く家事もできず、食事の準備や金銭管理は同居する全て配偶者に任せきりということでした。

就労移行支援は一般就労とは異なることを踏まえ、支援を受けながらようやく通所できている状況を病歴・就労状況等申立書へ具体的に記載しました。

結果

決定した年金種類と等級:障害厚生年金3級(事後重症請求)

年金額:年間約620,000円

申立書には配偶者の意見も反映することで、日常生活における支障を具体的に記載しました。ご本人にとって当たり前のことでも、客観的な視野で捉えた様子が効果的だったと思います。

ASD・ADHD(40代男性/無職)

相談内容

高校卒業後から転職を繰り返し、どの職場でも人間関係がうまくいかず、長く勤めることができませんでした。

仕事を覚えても段取りが悪く、急な予定変更に対応できず叱責されることが多かったそうです。また、職場で注意されると感情をコントロールできず突然退職してしまうこともありました。

40代になって初めて専門医を受診し、ASDとADHDの併存と診断されました。「自分は怠け者だと思っていたが、理由が分かって少し気持ちが楽になった」と話されていました。

当事務所のサポート

数十年にわたる就労歴を一緒に整理すると、退職理由の多くが発達障害の特性によるものであることが見えてきました。

また、ご家族からは、日用品を買い忘れる一方で同じ物を何度も購入してしまうことや、公共交通機関を一人で利用して振替輸送に遭遇すると、ほぼ乗換えを間違えるなど具体的な困りごとも伺いました。

これらの内容を時系列で整理し、幼少期から現在に至るまでの生活上の支障を申立書へ反映して、受診前から継続して発達特性に悩んでいた経緯を記載しました。

結果

決定した年金種類と等級:障害基礎年金2級(事後重症請求)

年金額:年間約820,000円

退職してから初めて医療機関を受診したため、障害基礎年金による認定となりました。

注意欠陥多動性障害(20代女性/就労移行支援事業所通所中)

相談内容

高校卒業後に販売職へ就職しましたが、レジの操作ミスや商品の渡し忘れが続き、何度も指導を受けました。

アルバイト先でも時間管理が苦手で遅刻を繰り返し、人間関係にも悩んで退職。その後は就職と退職を繰り返し、現在は就労移行支援事業所へ通所しています。

通所日は職員の声掛けがなければ予定どおり行動できず、帰宅後は疲れ切って横になってしまう生活でした。障害年金の対象になるとは思っておらず、「働く努力が足りないだけではないか」と自分を責め続けていたそうです。

当事務所のサポート

初回面談では緊張から「特に困っていることはありません」と話されていましたが、時間をかけてお話を伺う中で、日常生活にも多くの支障があることが分かりました。

例えば、食事を作ろうとしても途中で別のことを始めてしまうこと、公共料金の支払いを忘れること、ネットショッピングで衝動買いを繰り返してしまうことなど、ご本人が「普通のこと」と思っていた行動も整理しました。

さらに、就労移行支援事業所の利用状況や職員から受けている支援内容も確認し、日常生活能力と就労能力の実態が伝わるよう書類を作成しました。

結果

決定した年金種類と等級:障害基礎年金2級(事後重症請求)

年金額:年間約820,000円

無事に認定となり、無理なく就労できる就職先が見つかることを願っております。

注意欠陥多動性障害(40代男性/障害者雇用で就労中)

相談内容

一般就労で勤務した後は転職を繰り返していましたが、その経緯で発達障害の検査を受け、注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断されました。その後は障害者雇用で勤務していましたが、業務の優先順位付けが難しく、複数業務への対応や対人コミュニケーションに強い負担を感じる状態が続いていました。

当初、ご自身で障害年金の請求を進めておられましたが、病歴・就労状況等申立書の作成や制度判断に悩まれ、当事務所へご相談いただきました。

当事務所のサポート

本件では、障害認定日時点で医療機関への受診歴があり、請求方法の選択をすることがポイントとなりました。

ご本人は「初診日から遡って受給したい」というご希望をお持ちでしたが、障害認定日時点の状況を詳しく確認したところ、当時は一般就労のフルタイムで相応に就労できていた事実があり、日常生活面でも支障は限定的ため遡及請求では認定のハードルが高いものと判断しました。

無理に遡及請求を進めることで、診断書取得費用などの負担だけが先行する可能性もあったため、当事務所では受給可能性を重視し、事後重症請求へ方針を切り替えることをご提案しました。

制度上の見通しや請求方針についても丁寧にご説明し、ご本人に十分ご納得いただいたうえで申請を進めました。

結果

決定した年金種類と等級:障害厚生年金3級(事後重症請求)

年金額:年間約600,000円

障害者雇用で働きながらでも、実際の支援状況や日常生活への影響を適切に整理することで、障害年金が認定されるケースがあります。請求方法を慎重に見極めることで、不要な負担を避けながら適切な受給につながることもあります。

 

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