【相談事例】自分で申請してダメだったんですが、もう無理でしょうか?

― 「以前ダメだったからもう無理?」と感じたときの正しい考え方 ―

40代女性Dさん

数年前に自分で障害年金を申請したのですが、不支給になってしまいました。
結果通知を見ても難しい言葉ばかりで、なぜダメだったのかも正直よく分からず“自分は対象ではないんだ”と思って諦めていました。

一度ダメだった以上、もう無理なのではないかと思ってしまって…。
再申請すれば認定される可能性もあるのでしょうか?

社会保険労務士

一度不支給になると、“もう可能性はない”と感じてしまいがちですが、障害年金は“過去に不支給だったから今後も絶対に認められないということはありません。実際に受給につながるケースもあります。

一方で、重要なのは“前回と同じ進め方を繰り返さないことです。
理由を把握しないまま再申請すると、結果が変わらないリスクがあるので注意が必要です。

不支給になった経験があると「自分は制度の対象ではないのでは」と不安になりがちですがそうではありません。ここでは、再申請をする場合に、どんなことを注意すればよいのかみていきます。

再申請する際のポイント

「以前ダメだったから今回も無理」と考えるのではなく、「なぜ不支給だったのか」「今はどのような状態なのか」を整理し直すことが大切です。理由を把握することで進むべき方向性が見えてきます。

不支給理由を整理する

再申請でまず大切になるのは、「前回なぜ不支給だったのか」を整理することです。

通知書には理由が書かれていますが、実際には簡潔な内容しか記載されていないことも多く、「どの部分がどう評価されたのか」までは分からないケースも少なくありません。

例えば、「働いている」という事実だけが見られ、実際には職場で多くの配慮を受けていることが十分に伝わっていなかったり、一人暮らしをしていることで「自立している」と受け取られていたりすることがあります。

そのため、「何が不足していたのか」「どこが誤解されやすかったのか」を整理することが、再申請の出発点になります。

「診断書だけ」の問題とは限らない

不支給になると、「診断書が悪かったのでは」と感じる方は多いです。しかし実際には、診断書だけでなく、申立書や就労状況とのつながりに問題があるケースも少なくありません。

相談を受けたDさんのケースでは、診断書には日常生活能力の低下が記載されていて相応の内容であったにも関わらず、病歴・就労状況等申立書(本人作成)で説明不足や矛盾点が見受けられ、その結果、不支給になっていました。

障害年金では、「症状があるか」だけでなく、「その症状によって日常生活や社会生活にどのような支障が生じているか」が重要です。そのため、診断書、申立書、就労状況などが一つの流れとして整合していることが大切になります。

前回との整合性が大切

Dさんのように、一度不支給を経験された方ほど「またダメだったらどうしよう」という不安が強くなりますが、前回の申請を踏まえつつ、現在の状態をもとに再申請を検討していきます。

再申請では「現在の困りごと」を具体化

再申請では、「つらい」「大変」という抽象的な表現ではなく、現在の生活でどのような支障があるのかを具体的に整理することが重要です。

例えば、仕事から帰宅すると疲労で動けなくなること、人間関係のストレスで体調を崩しやすいこと、一人では予定管理や金銭管理が難しいことなど、実際の生活場面に落とし込んで説明していきます。

ここが曖昧だと、「症状はあるが日常生活は可能」と受け取られてしまうことがあります。反対に、具体的な困難場面として整理できると、生活上の支障が伝わりやすくなります。

前回との整合性も重要です

再申請では、「今回は認められたい」という思いから、前回よりも強い内容を書こうとしてしまう方もいます。
しかし、前回提出した書類は審査機関には残っているため、前回とまったく異なる内容になってしまうと、書類全体の信憑性が疑われる可能性があります。

例えば、以前は「働いている」としか伝わっていなかった場合でも、今回は「実際には周囲のフォローがなければ継続勤務が難しい」「対人トラブルを繰り返している」など具体的に整理していくことで、前回との矛盾を生じさせずに補足することができます。

大切なのは、「前回伝え切れなかった部分を、現在の実態に沿って補足する」という視点です。無理に重い内容を書こうとするのではなく、現在の状況を丁寧に整理していきましょう。

診断書は慎重に準備する

障害年金では、診断書が非常に重要な資料になります。ただし、主治医は日常生活の全てを見ているわけではないので、自分がどのような場面で困っているのかを整理しておくことが大切です。

依頼する前に情報を整理しておく

例えば、通勤後は強い疲労で横にならないと動けないこと、人間関係の負担で症状が悪化しやすいことなど、実際に起きている困難を具体的に整理しておきます。

単に「つらい」「不安がある」という説明だけでは、十分に伝わらないことがあります。「どの場面で、どのような支障が出ているのか」を整理して伝えることで、診断書にも実態が反映されやすくなります。

準備不足のまま依頼すると、実際より軽い内容で記載されてしまう要因になるため注意が必要です。

再申請は「同じ申請のやり直し」ではない

再申請というと、「前回と同じ申請をもう一度する」というイメージを持つ方もいます。しかし実際には、「前回なぜ十分に伝わらなかったのか」を整理し直し、書類全体を組み立て直していく作業になります。

単に前回の書類を出し直すだけでは、結果が変わらない可能性があります。大切なのは、「前回不支給だった」という結果だけにとらわれず、「今の生活でどのような支障があるのか」を、診断書や申立書などを通じて一つの流れとして伝えていくことです。

Dさんから相談を受けた後、再申請に向けて診断書作成からサポートさせていただきました。前回の不支給理由を丁寧に整理し、現在の生活実態を適切に反映した申請をしたことで、無事、よい結果につなげることができました。

再申請で注意すること

再申請では、「今度こそ認められたい」という気持ちが強くなります。ただ、その気持ちが強過ぎると、かえって不自然な内容になってしまうことがあります。

「実態を正確に伝えること」が重要

再申請で大切なのは、「症状が重いこと」を強調することではなく、「生活にどのような支障があるのか」を具体的に整理することです。
「認定されたい」という思いから、実際の生活とかけ離れた内容を書いてしまうと書類全体の信憑性に影響があります。

当たり前のことですが、事実にもとづかないことを記載するのは避けるべきことであり、決して無理に重く見せようとするのではなく、「現在の実態を正確に伝えること」が重要になります。

また、就労している場合、「配慮がなければ継続困難である」といった実態を伝えるために、就労状況に関する客観性の高い資料を準備するケースもあります。

再申請に向かない事例

障害年金は「どの時点の状態をどう証明するか」が非常に重要な制度です。

場合によっては、申請するタイミングを見直すこともあります。症状が安定していない時期や、実態が十分に把握されていない段階での診断書では、適切な評価につながりにくいことがあります。

また、現在の主治医が日常生活の状況を十分に把握していない場合には、より実態を理解している医療機関での取得を検討するケースもあります。

こうした判断を誤ると、再申請であっても前回と同様の評価になってしまう可能性があるため、慎重な検討が必要です。

まとめ

Dさんのように、一度不支給を経験された方ほど、「またダメだったらどうしよう」という不安を強く抱えています。しかし、前回不支給だったからといって、今回も同じ結果になるとは限りません。

大切なのは、「前回なぜ不支給だったのか」を整理し、「現在どのような生活上の支障があるのか」を具体的に見直すことです。再申請は、単なるやり直しではなく、「前回十分に伝わらなかった部分を整理し直す作業」です。診断書、申立書、就労状況などを一つの流れとして整え、現在の実態を丁寧に反映していくことで、結果が変わるケースは実際にあります。

前回の結果だけにとらわれず、「今の生活で何に困っているのか」を客観的に整理することが、次の結果につながっていきます。

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