【相談事例】今働いているので、障害年金はもらえないですよね?

― 就労中で支給認定される可能性について ―

30代男性Bさん

今は障害者雇用で働いているので、障害年金は難しいですよね……。
毎日なんとか出勤はしていますが、疲れやすく、仕事も周囲の配慮がないと続きません。

体調を崩して休むことも多く、家ではほとんど動けない状態です。
収入がある以上、申請しても意味がないのではと思っていました。

社会保険労務士

就労しているからといって、直ちに障害年金の対象外になるわけではありません。
“どのような支援や配慮を受けながら働いているか”“日常生活にどの程度支障があるか”が重要になります。

実際に、就労を継続しながら受給している方も一定数いらっしゃいます。
勤務形態や仕事内容、欠勤状況などを整理すると、受給の可能性が見えてくるので、もう少し詳しくお話を聞かせてください。

Bさんのような不安に感じている方はとても多くいらっしゃいます。実際、仕事をしているというだけで、「自分は対象外なのでは」と思い込んでしまう方も少なくありません。

「働いている=不支給」とは限りません

ここで重要なのは「働いているかどうか」ではなく、「どのような状態で働いているのか」という点です。この整理が不十分なまま申請を行うと、実態とは異なる評価を受けてしまう可能性があります。

就労していても受給の可能性はあります

まずお伝えしたいのは、“働いている=不支給”と単純に決まるわけではないということです。障害年金の審査では、「働いているかどうか」だけを見ているわけではありません。
大切なのは、どのような状態で働いているのか、日常生活や社会生活にどの程度の制限があるのか、という点です。

周囲の配慮を受けながら何とか勤務を続けている場合や、強い負担を抱えながら無理をして働いているケースもあります。外から見ると“普通に働けている”ように見えても、実際にはギリギリの状態で成り立っていることは少なくありません。

実際にも、就労しながら障害年金を受給されている方は一定数いらっしゃいます。ですので、「働いているから申請しても意味がない」と最初から諦めてしまう必要はありません。

「働けている=問題ない」と見られやすい難しさ

一方で、就労中の申請には特有の難しさもあります。それは、「仕事をしている」という事実だけで、“ある程度社会適応できている”と受け取られやすいという点です。

たとえば、毎日かなり無理をして出勤していたり、帰宅後はほとんど動けなかったり、休日も回復のために寝て過ごしている状態だったとしても、その部分が十分に伝わらなければ、“安定して働けている”ように見えてしまうことがあります。

「大変ですが頑張って働いています」という説明だけでは、実際の制限や困難さはなかなか伝わりません。だからこそ、“どのような制約の中で働いているのか”を具体的に整理することが重要になります。

職場での配慮内容を整理することが重要です

就労中の申請が難しいとされる理由は、「働いている」という事実の説明の仕方によって、評価が大きく変わるためです。どのような配慮や支援があるから成り立っているのかを具体的に整理していきます。

どのような支援を受けながら働いているのか

就労中の申請では、「どのような環境だから働けているのか」を整理することがとても大切になります。こうした情報を整理することで、「通常の就労とは異なる条件で成り立っている」という実態が伝わりやすくなります。

たとえば、業務量を減らしてもらっている、勤務時間を短縮している、対人対応の少ない業務へ調整されている、体調が悪い時には休みやすい環境になっているなど、一般的な働き方とは異なる支援や配慮がある場合、それは重要な評価材料になります。

これらの情報を明確にすることで、「一般的な働き方とは異なる状態である」ということが伝わりやすくなり、制限の程度を正しく評価してもらうための重要な材料になります。

「なぜその配慮が必要か」まで説明する

さらに大切なのは、「配慮を受けています」という事実だけではなく、“なぜその配慮が必要なのか”まで説明することです。「その配慮がどのような困難に対応しているのか」「それがなければどのような支障が生じるのか」という点です。

ただし、配慮の内容を単に列挙するだけでは十分とは言えません。
たとえば、短時間勤務をしている場合でも、「疲労感が強く、フルタイム勤務を続けると体調が維持できない」「集中力が続かず、長時間勤務ではミスが増えてしまう」といった背景が伝わらなければ、「本人が希望して時短勤務を選んでいるだけ」と受け取られてしまう可能性があります。

「この配慮があるからこそ就労が成り立っている」という関係性を、具体的に示していくことが評価につながります。

見えにくい負担や限界を言語化していきます

「働けている」という結果だけが見られてしまうと、その裏にある負担が見過ごされ、本来の状態より軽く評価されてしまう可能性があります。

就労の裏側にある負担は見過ごされやすいです

実際には、働いている方ほど、自分の大変さをうまく言葉にできていないことがあります。

「みんなも疲れているから」「働けている以上、自分は軽いのでは」と考え、限界に近い状態を“普通”として話してしまう方もいらっさいます。しかし、障害年金の審査では、“働けている結果”だけではなく、その裏側にある負担や制限を適切に伝えることが重要になります。

出勤前に強い不安や動悸がある、帰宅後は食事や入浴も負担になる、休日は回復だけで終わってしまう――こうした状況も、社会生活上の制限として整理できる場合があります。

実際には無理を重ねながら働いている場合でも、その負担は外からは見えにくいものです。それを具体的に説明しなければ評価にはつながりません。

「何とか続けている状態」も重要な評価要素です

また、「今は何とか働けている」という状態でも、それが非常に不安定で、綱渡りのような状態であれば、その点も大切な評価要素になります。

たとえば、欠勤や遅刻を繰り返している、体調の波が大きく安定就労が難しい、周囲の支援がなければ継続できない――そのような状況がある場合には、「就労できている」という結果だけでなく、“どれだけ無理をして維持しているか”を丁寧に整理する必要があります。

現時点で何とか働けていたとしても、それが非常に不安定であったり、体調を崩しながらの綱渡りの状態であれば、その点も重要な評価要素となります。「今後も同じように働き続けられる状態なのか」という視点が大切なのです。

診断書と申立内容の一貫性が重要です

就労している場合には、診断書の内容と実際の働き方との整合性が特に重要になります。特に、「就労している=安定している」と短絡的に判断されないよう、生活全体のバランスを踏まえた説明が必要になります。

診断書と実態にズレがあると正しく伝わりません

就労中の申請で特に重要なのが、診断書の内容と実際の生活・就労状況にズレを生じさせないことです。

たとえば診断書で、「就労継続中」「日常生活は概ね自立」といった記載がある場合、実際には大きな負担を抱えていても、“問題なく生活できている”と評価されることがあります。

本来は、配慮のある環境で何とか維持している状態であっても、その背景が反映されていなければ、正しい評価につながりにくくなってしまいます。

もし「できている部分」だけが強調されてしまうと、「日常生活に大きな問題はない」と受け取られてしまうことがあります。本来は制限のある状態であっても、その部分が適切に反映されていなければ、正しい評価にはつながりません。

「なぜ働けているのか」を全体で整理します

そのため、診断書作成の際には、どのような配慮を受けているのか、どのような支障があるのか、仕事以外の日常生活はどうなっているのか、無理をするとどう悪化するのかといった点を、主治医へ具体的に共有していくことが大切です。

障害年金の審査では、書類一枚だけで決まるわけではありません。診断書、就労状況、日常生活の申立てなどが、一つの流れとしてつながっているかどうかが重要になります。

「働いているから無理」と決めつけるのではなく、“どのような条件だから働けているのか”を丁寧に整理して申立てしていくことで、診断書の内容を補強する重要な材料になります。実態に沿った評価につながる可能性があります。

ここが整っているかどうかで、審査結果に大きな差が出ることがあります。

まとめ

Bさんのように、「働いているから障害年金は無理だろう」と感じている方は少なくありません。
しかし、障害年金では“働いているかどうか”だけで判断されるわけではなく、その就労がどのような配慮や支援の上で成り立っているのか、日常生活にどの程度の制限があるのかが重要になります。

特に、無理を重ねながら就労を続けている場合や、周囲のサポートによって何とか維持できている場合には、その実態を適切に整理して伝えることが大切です。

「働けている」という結果だけではなく、“どのような状態で働いているのか”を丁寧に積み上げていくことで、実態に即した評価につなげることができ、受給の可能性が見えてくるケースもあります。

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